夕飯の支度中、昨日のカレーを温め直したら、
表面は熱いのに真ん中は冷たい——そんな瞬間、ありますよね。
「ちゃんとしたオーブンレンジを選んだはずなのに」とつぶやきながら、
ふと型番を見て気づく。“似ているけれど、思っていたモデルじゃなかった”と。
その小さなズレが、日々の段取りをほんの少し狂わせることがあります。
私は長年、建設現場で自動制御機器と向き合ってきました。
だからこそ感じるのです——家電もまた、仕組みの違いが「暮らしの流れ」を変えるということ。
同じ「ヘルシーシェフ」でも、MRO-W1DとMRO-W1Bでは、
加熱制御やプログラムの思想がまるで違います。
そして、トースターレンジのMRT-F100は、
“焼く”と“あたためる”の境界をなくした、異なるジャンルの一台。
この記事では、スペックの数値ではなく、“生活導線”という目線から、
3機種の違いを丁寧にほどいていきます。
レンジを選ぶというのは、性能を比べることではなく、
「どんな時間をこの家電に託したいか」を見つけること——
そんな視点で、家電えらびのレイが読み解いていきます。
この記事を読むとわかること
- 日立オーブンレンジ3機種(MRO-W1D/MRO-W1B/MRT-F100)の特徴と違い
- スペック表では見えにくい「生活導線」からの選び方
- 設置場所・使う高さ・動線設計まで含めた実践的な選定ポイント
似ているのに、違う。だからこそ「選び方」が暮らしを変える
「どれも同じに見えるけど、日立ならどれを選べばいい?」——家族や読者からよく受ける相談です。仕様表をじっくり見比べていくと、MRO-W1D・MRO-W1B・MRT-F100は、それぞれ暮らしのテンポが違う方向を向いていることがわかります。ここでは、制御設計の世界を見てきた目線で、実際の生活導線に落として違いを整理していきます。数字を追うより、台所でどんな動きが生まれるかをイメージしながら読んでみてください。
W1DとW1Bの「加熱思想」の差:フルドット液晶×アプリ連携か、Wスキャンの堅実運用か
2つのヘルシーシェフは、同じシリーズでも設計思想が異なります。
公式仕様を見ると、W1Dは最大310℃熱風、W1Bは最大300℃熱風。数字の差は10℃ですが、本質は“熱の制御と情報の扱い方”です。W1Dはフルドット液晶+スマホ連携を備え、「わがやのアレンジ料理」によってレシピ操作を整理しやすくしています。つまり、メニュー管理の流れが視覚的にわかりやすい構成です。
一方でW1Bは、Wスキャン(重さ×表面温度)を軸に自動あたためを最短ルートで進めるタイプ。操作が直感的で、迷いにくい印象です。
ポイント:“メニューの幅を育てたい派(W1D)”か、“毎日の動きをスムーズに整えたい派(W1B)”か。ここが分かれ道です。
2段コンベクションの現実解:同時進行の家事がスムーズになる瞬間
どちらも30L・2段熱風コンベクション(短時間の高温設定対応)を備えています。ポイントは、“2段をどれくらい活かすか”。
例えば夕方、上段で主菜を焼きながら下段で副菜を温める——この“同時進行”が、シンク前に立つ時間を短くしてくれるという声もあります。
ポイント:週に数回しっかり調理する家庭なら2段の恩恵が大きい。一方、“あたため中心+たまにグラタン”程度なら、2段は出番が少ないかもしれません。そうなると、MRT-F100のような軽快モデルが選択肢に入ります。
MRT-F100は朝のテンポ担当:裏返し不要トーストとリベイク専用モード
MRT-F100は2in1のトースターレンジ。特徴はトーストの裏返し不要と、パンのリベイク・ピザ専用モードが分かれていることです。
さらに短時間1,000Wレンジ出力を備えており、「ごはんを温めて→パンを焼いて→飲み物を温める」といった連続運転がリズムよく回せる仕様。
ポイント:「朝はトースト中心で、日中はさっと温めたい」——そんな暮らしのリズムには、MRT-F100の軽快さがよく合います。庫内が低めで扱いやすく、家事導線の流れを崩さずに置ける点も魅力です。
設置でつまずかないために:背面ピッタリ・上部クリアランス・動線の三点セット
3機種とも左右・背面ピッタリ設置対応(公式仕様より)。壁に寄せて置けるのは嬉しい点ですが、見落としがちなのが上部クリアランスです。
W1シリーズは上方に放熱スペースを取る構造なので、上の棚との間に余白を設けておくと快適。
吊り戸棚の下に設置する場合は、扉の開閉や蒸気の抜けまで考えておくと、後で「置いたけど少し狭かった…」という事態を防げます。
ポイント:“奥行きが浅い棚”や“動線上に置く場合”には、MRT-F100のコンパクトさが有利。設置時にコードの出る方向と扉の開きもセットで確認するとスムーズです。
プレートと手入れの考え方:セラミック系か、パン特化の庫内か
W1Dはセラミックプレート(公式仕様)を採用。高温調理を意識した素材で、汚れを拭き取りやすい傾向があります。W1Bは従来の構成で、角皿や網の扱いが“いつもの流れ”に馴染みやすい。
MRT-F100はパンに特化した庫内レイアウトで、パンくずや粉の片付けを前提に作られているのが特徴。
ポイント:「掃除や片付けにかける時間」を考慮して、手入れのしやすさで選ぶのも賢い判断です。扱いやすさが定着すれば、使う回数も自然と増えます。
結論の出し方:機能ではなく“使いたい瞬間”を3つ書き出す
迷ったときは、紙に「このレンジでやりたいこと」を3つだけ書き出してみてください。例:
・「夕方、主菜と付け合わせを同時に仕上げたい」→ W1D/W1B
・「あたためメインで、操作はシンプルがいい」→ W1B
・「朝のトーストを裏返さずに仕上げたい」→ MRT-F100
この3行が、あなたに合う一台の方向を教えてくれます。数字や価格で迷ったら、“どんな瞬間に立ち会ってほしいか”に立ち返る。これが、失敗しにくい選び方の基本です。
迷ったときの最短メモ(W1D/W1B/MRT-F100)
- W1D:310℃熱風、フルドット液晶、アプリ連携、「わがやのアレンジ料理」。レシピや操作の導線を整理したい人に。
- W1B:300℃熱風、Wスキャン。自動あたため中心で、毎日の定番動作を一定に保ちたい人に。
- MRT-F100:トースト裏返し不要、パン専用モード、短時間1,000W。パンと温め中心で、軽快に回したい人に。
3機種ともそれぞれの得意分野がはっきりしています。数字だけを追うより、どのモデルがあなたの暮らしのテンポに合うかを見極めてください。
スペック表には出てこない「生活導線とのフィット感」——そこに注目すると、選ぶ時間そのものがちょっと楽しくなります。
MRO-W1DとMRO-W1Bの違い|同じ「ヘルシーシェフ」でも中身が違う
見た目が似ていても、実際に触れると印象が変わる——この“型番の違い”が、家電選びで一番迷いやすい部分です。
長年、制御図面や調理家電の設計思想を見てきた立場から、MRO-W1DとMRO-W1Bの構造や操作設計を整理していきます。
スペックの数値ではなく、生活の中でどう動くかに焦点を当てて比較していきましょう。
操作系の進化点:フルドット液晶+アプリ連携(W1D)/Wスキャン重視のシンプル構成(W1B)
まずは“操作の感覚”から。W1Dはフルドット液晶を搭載し、表示が細かく整理されているのが特徴です。
公式情報にあるように、スマホ連携と「わがやのアレンジ料理」機能が追加され、レシピの呼び出しや設定がわかりやすい構成。
操作ガイドが視覚的に確認できるため、使う流れが整いやすい印象です。
一方のW1Bは、Wスキャン(重さ×表面温度)を軸にした自動あたため機能が中心。
操作手順を減らし、定番動作をスムーズに進める設計になっています。
ポイント:メニューを広げて自分仕様にしたいならW1D、日常の動作を効率的に整えたいならW1Bという選び方がしっくりきます。
加熱設計の違い:310℃と300℃、2段熱風の使いどころ
両機には2段熱風コンベクションが搭載されています。短時間高温での到達温度はW1D=310℃、W1B=300℃(いずれも公式仕様より)。
10℃の差は数字としては小さいですが、調理の組み合わせを考えると違いが見えてきます。
上段でメイン、下段で副菜というように“同時調理”を行う頻度が多い家庭では、温度制御の幅があるW1Dが扱いやすい印象。
逆に、あたため中心でオーブンをたまに使う程度ならW1Bの構成で十分です。
どちらも高温調理を前提にした熱循環設計があり、調理の流れを整えやすいという点では共通しています。
メニュー体系の違い:W1Dは“広げる”、W1Bは“整える”
公式機能表を比較すると、W1Dには「わがやのアレンジ料理」とアプリ連携があり、メニューの登録・呼び出しを整理しやすい設計。
一方のW1Bは「簡単ボウルメニュー」や「マイリスト」機能で、定番料理を短い手順で完結できる構成です。
つまり、W1Dは発想を広げて料理を楽しみたい人向け、W1Bはルーティンを快適に回したい人向け。
どちらも方向性が明確で、家庭の使い方に合わせて選ぶのが賢いです。
プレートと庫内まわり:セラミック採用(W1D)と従来構成(W1B)
W1Dにはセラミックプレート(公式仕様)を採用。高温運用に対応し、汚れを拭き取りやすい構造です。
一方でW1Bは従来構成を維持しており、角皿や網の扱いが馴染みやすい仕様。
どちらも30L・2段庫内の容量は共通なので、使用感の差はプレート素材とお手入れ導線で決まります。
ポイント:高温料理が多い家庭はW1Dの構成を確認、あたため主体の家庭はW1Bの操作テンポを重視。用途で選び方が変わります。
設置・取り回し:左右・背面ピッタリ対応は共通、上方向は余白を意識
どちらのモデルも左右・背面ピッタリ設置が可能(公式情報に準拠)。
ただし上方向のクリアランスは確保しておくのがおすすめです。
吊り戸棚の下に設置する場合は、扉の開閉スペースや蒸気の抜け方もチェック。
事前にメジャーで寸法を測っておくと、後で位置を変えずに済みます。
ポイント:設置動線を含めて考えると、W1Bは省スペース運用に、W1Dは表示や操作の見やすさ重視の配置に向いています。
ケース別の当てはめ早見表(W1D/W1B)
- 「レシピを広げたい・表示で迷いたくない」→ W1D:フルドット液晶+アプリ連携+「わがやのアレンジ料理」で、メニュー整理がしやすい。
- 「自動あたため中心・手早く使いたい」→ W1B:Wスキャンを軸に、定番動作をスムーズに進められる。
- 「週末は2段で同時進行、平日はレンジ主体」→ 両機候補:プレート構造(W1D)と操作の簡潔さ(W1B)を、使う頻度で選び分け。
どちらのモデルも方向性の明確な構成です。性能差を比べるより、「どんな使い方に寄せたいか」で選ぶとしっくりきます。
スペックではなく生活導線の相性を基準に見ていくと、選ぶ過程そのものが楽しくなります。
迷う時間を、暮らしを整える時間に変えていきましょう。
トースターレンジMRT-F100|“焼く”と“あたため”のちょうどいい距離感
トーストって、毎日焼くからこそ違いが出るもの。
表面が焦げ気味なのに中が白い、あるいは全体がぼんやり温まるだけ——そんな「惜しい焼き上がり」にモヤっとしたこと、ありませんか。
そこで日立が生み出したのがMRT-F100。トースターとレンジをひとつにして、その“惜しさ”を減らす方向で設計された一台です。
「焼く」と「あたためる」を切り離さず、生活リズムに合わせて動けるように考え抜かれた機種。
その発想こそ、日立らしさがにじむ部分です。
裏返さずに焼ける構造:ヒーター配置の工夫が“朝の3分”を変える
公式ページを見てまず目に留まるのが、裏返し不要のトーストモード。
庫内の上下ヒーターがバランスよく制御され、パンを途中でひっくり返す手間を想定していないつくりです。
たった数分のトースト時間に「裏返す→また待つ」がなくなるだけで、朝の段取りが少し軽くなる。
そのわずかな時間の余白が、朝の流れを整えやすくしてくれるんです。
パン専用モードの作り込み:リベイク・ピザ・アレンジが生む小さな満足
パンリベイク、ピザ、アレンジトーストなど、パン周りの専用モードが独立しているのも特徴です。
単に温めるだけでなく、焼きたてに近づける方向を意識した制御構成。
特にピザモードでは、下ヒーターが生地のサクッと感を引き出しやすいように調整されています。
パンとピザを同じ工程で処理しないあたりに、設計者のこだわりが感じられます。
冷凍ごはん・惣菜のあたためにも対応:1,000W出力とワイド庫内
MRT-F100の短時間1,000Wレンジ出力は、冷凍ごはんや惣菜を素早く温めやすい設計です。
しかも庫内はワイドで、直径24cmのボウルもそのまま収まるサイズ。
こうした「パンもごはんも視野に入れる設計」が、このモデルの潔いところ。
パン専用に寄せすぎず、平日の食事準備を支える方向で練られている点が印象的です。
コンパクトなのに余裕を感じる理由:背面ピッタリ+奥行き浅め設計
設置性の高さもMRT-F100の強み。左右・背面ピッタリ設置(公式仕様)に対応し、奥行きも浅めのため、限られたスペースでも収まりやすい。
狭いキッチンでも圧迫感を出さず、風景にすっと溶け込むサイズ感です。
「置いた瞬間に空気が変わる」と言いたくなるほど、動線の邪魔にならない。
設置場所を選ばず、暮らしに溶け込む柔らかい存在感が魅力です。
暮らし方で選ぶなら:料理を楽しむ派より“日常を整えたい”派に
W1DやW1Bが「料理をじっくり楽しむ人」に向いたシリーズだとすれば、MRT-F100は「生活リズムを整えたい人」に寄り添う一台。
焼く・温めるといった動作を、最小限の動きで完結させるように組まれています。
「仕事の合間にパン」「夜食にグラタン」「朝はトーストでスタート」——そんなテンポのある暮らしに合う設計。
複雑な設定はいらないけれど、仕上がりにはこだわりたい。
MRT-F100は、そんな“日常のリアル”を受け止めてくれるような構成です。
トースターレンジという枠を超えて、「暮らしのリズムを整えるサポーター」と呼びたくなる存在。
キッチンの空気を変えたい人にこそ、目を向けてほしいモデルです。
「背面ピッタリ設置」できる違い|置き場所から考える選び方
ここ、見落としがちですがとても大事なポイントです。機能を比べる前にまず、「きちんと置けるか・気持ちよく使えるか」。MRO-W1D/MRO-W1B/MRT-F100は公式仕様で左右・背面ピッタリ設置が可能な設計。だからこそ、上方向の余白・扉の開き方・電源の位置まで合わせて考えることで、あとで使いにくさを感じにくくなります。ここでは、実際の相談で多い“つまずきポイント”を具体的な対策としてまとめていきます。
まず押さえたい:設置クリアランスの基本(上方向がカギ)
背面・左右を壁に寄せて設置できるのは3機種共通。ただし、忘れやすいのが上方向のクリアランスです。上に余白がないと、蒸気の抜けや放熱の流れがやや制限される場合があります。
チェックの順番は以下のとおりです:
- 上方向:棚板や吊戸棚との距離をメジャーで測定(目安:公式推奨値に準拠/10cm前後が多い)。
- 前方向:扉の開閉スペース+手が入る余白(皿の出し入れ動線)。
- 後方向:電源コードの逃げとコンセントの位置(右・左どちらから出ても干渉しないか)。
この3点を確認しておくだけで、「置けたけど使いづらい」を減らせます。
棚・コンセント・扉の“三位一体”で考えると設置がスムーズ
設置相談で多いのがコンセントの向きと扉の干渉。たとえば右奥にコンセントがあるのに、棚の柱が右手前にあってコードが回りにくい——こんな小さな不便が、毎日の使いにくさにつながります。
おすすめ手順:
- 棚の有効奥行きを測る(天板の前縁から背面板まで)。
- 扉を全開にした時の手前の張り出しを確認(通路幅を圧迫しないか)。
- コンセントの位置とコードの経路を紙に書き出す(右出し/左出しの想定を含める)。
この3ステップで「置ける・使える・動きやすい」が揃いやすくなります。
機種別“置き方シナリオ”:風景に合う高さで考える
- MRT-F100(トースターレンジ):背が低く奥行き浅め。レンジ台の中段や炊飯器の横など、アイレベルより下が合いやすい。朝のトースト→皿にすぐ移すという短い動線を取りやすい。
- MRO-W1B(30L):“あたため中心+時々オーブン”の家庭なら腰〜胸の高さがおすすめ。食品をそのまま出し入れしやすい位置で、ボタン操作もシンプルに届きます。通路近くの設置にも向きやすい構成です。
- MRO-W1D(30L):フルドット液晶とアプリ連携の表示の見やすさを活かすなら、目線〜やや下がベスト。2段オーブン調理を使う家庭は、上部にゆとりを持たせると扱いやすさが安定します。
“置ける”を確かめる採寸メモ(スマホ保存向け)
このテンプレートをそのままスマホにメモして、計測しながら入力すると便利です。
- 棚の有効幅 × 奥行き × 高さ:__ mm × __ mm × __ mm
- 上部余白(天板〜棚板):__ mm(メーカー推奨値に合わせる)
- 扉全開時の前方スペース:__ mm
- コンセント位置:右奥/左奥/中央(該当に○) コードの逃げ:上/横/下
- 左右壁までの距離:右 __ mm/左 __ mm(ピッタリ設置可でも手の動作分の余白を確保)
蒸気と熱の“逃がし方”:上に通気の道をつくる
加熱後は庫内の蒸気が自然に上がります。真上に棚板がある場合は、少し手前に引いて使う・上方に抜ける隙間を作るなど、蒸気の通り道を意識すると扱いやすくなります。
布巾や収納ケースを上面のすぐ上に置くのは避けたほうが無難。
小さな配置の工夫で、使いやすさと収納のバランスが取りやすくなります。
サイズではなく“使う瞬間の姿勢”で決める
3機種とも背面ピッタリ設置対応で、スペース効率に優れています。
ただし最終的な決め手は数字ではなく、“どう動きたいか”。
MRT-F100は低めでサッと取り出す動線に向き、W1Bは日常の定番動作に寄せやすく、W1Dは視認性と操作性を重視する配置が似合います。
最後は、あなたの暮らしの中での“よくある動き”に重ねて考えてみてください。
「立った姿勢で皿を出す」「子どもが前を通る」「扉を開けたまま配膳台に置く」——この一連が自然に流れれば、それがいちばんしっくりくる選び方です。
どれを選ぶか迷ったら|「使いたい瞬間」で考える
型番で迷うときは、スペックの数字ではなく“使いたい瞬間”から考えるのが一番整理しやすいです。家電相談を受けてきて感じるのは、決め手はいつも「その家の時間の流れ」。ここでは、実際のシーンを想像しながら迷わず決められるように、3機種を行動ベースで整理してみます。
30秒ワーク:紙に3つだけ書き出す(あなたの瞬間)
スマホのメモでも紙でも構いません。「この一台にやってほしいこと」を3つだけ、思いついた順に書いてみてください。例を挙げると、こんな感じです。
- 朝、食パンを裏返さずに1回で焼きたい
- 夕方、主菜と付け合わせを同時進行で終わらせたい
- 冷凍ごはんや作り置きをムラを減らして温めたい
この3行を、下の“機種マップ”に当てはめるだけで方向がつかみやすくなります。数字の比較よりも、ずっと決めやすくなります。
機種マップ:その瞬間、どれを選ぶ?
図面を描くように、動きの流れで整理してみましょう。ここがいちばんワクワクする時間です。
- W1D(MRO-W1D):
・アプリ連携やフルドット液晶でメニューの使い方を広げたい
・週末に2段熱風で主菜と付け合わせを同時に仕上げたい
・「わがやのアレンジ料理」で家族の好みを記録して呼び出したい - W1B(MRO-W1B):
・毎日の主役は自動あたため。手順を短くまとめたい
・Wスキャン(重さ×表面温度)でいつもの温まり方を再現したい
・ときどきオーブンを使うけれど、操作はシンプルにしたい - MRT-F100:
・朝の主役はトースト。裏返し不要でテンポよく焼きたい
・パンのリベイク/ピザなど専用モードを使い分けたい
・短時間1,000Wで冷凍ごはんや汁物をすぐ温めたい
生活導線チェック:置く場所・触る高さ・配膳までの距離
どれを選んでも、最後の満足度を左右するのは置き場所。ここがしっくりくると、使い心地がぐっと整います。
- 触る高さ:W1Dは表示が見やすい目線〜少し下の位置。W1Bは腰〜胸の高さで皿を取り出しやすい。MRT-F100は低めで、レンジ台の中段が扱いやすい。
- 上の余白:3機種とも背面・左右ピッタリ設置が可能。ただし上方向はクリアランスを確保(公式推奨値を基準に)。蒸気の抜け道を意識して設置。
- 配膳の距離:扉を開けてお皿を置く台までの一歩分を短く。通路をまたぐ配置を避けると動線がスムーズになります。
“当事者視点”の細かいところ:後から差が出るポイント
これまでの読者相談や現場で見えてきた、「あとから効いてくる」要素をまとめます。
- 連続運転のリズム:MRT-F100はトースト→牛乳→冷凍ごはんの短距離3連続がスムーズ。朝の流れを整えやすい構成です。
- 2段の実用性:W1D/W1Bは“ついで調理”に強い。上段の主菜と下段の副菜を並行できるので、作業時間の重なりが減りやすい印象です。
- メニューの扱い:W1Dはアプリ+表示の情報量でメニュー呼び出しがしやすい。W1Bは操作が固定化されていて、迷いにくい流れをつくりやすい。
- お手入れ動線:W1Dのセラミックプレートは高温調理に向く構造。MRT-F100はパンくずを前提に、庫内掃除が手短に済ませやすい設計です。
最短で決めたい人向け:3つのYesで整理
下のどれかにYesが2つ以上当てはまったら、それがあなたに近い選び方です。
- 「レシピや操作を広げる楽しみがある」→ W1D
- 「自動あたためが中心で、操作を固定したい」→ W1B
- 「朝のトーストとサッと温めが多い」→ MRT-F100
買う前の最終チェックリスト(メモ用)
- 使いたい瞬間(3つ):__/__/__
- 設置サイズ(幅×奥行×高さ):__mm × __mm × __mm
- 上部余白:__mm(メーカー推奨値に合わせる)
- 扉全開時の前方スペース:__mm
- 配膳台までの距離:__歩(できれば1歩以内)
- よく使うモード:トースト/自動あたため/2段オーブン/リベイク(該当に○)
見た目は似ていても、得意分野はしっかり分かれています。
W1Dは“使い方を広げたい人”、W1Bは“日常の流れを整えたい人”、MRT-F100は“朝のテンポを大切にしたい人”。
あなたの暮らしの中で一番多い“使いたい瞬間”を思い浮かべてみてください。
その場面で自然に手が伸びるモデルこそ、あなたに合った一台です。
まとめ
日立の3機種は、見た目こそ似ていますが、担う役割はまったく異なります。MRO-W1Dはフルドット液晶とアプリ連携で“メニューを育てながら使いたい人”に向く構成。MRO-W1BはWスキャンを軸に“毎日の定番をテンポよく回したい人”にフィット。MRT-F100はトーストの裏返し不要と短時間1,000Wの設計で、“朝のテンポと手早い温め”を重視する人に寄り添います。数字よりも、実際にキッチンで起きる動作の違いを意識すると、選ぶ基準が整理しやすくなります。
もうひとつの分かれ道は“置き方”。3機種とも背面・左右ピッタリ設置に対応していますが、上方向の余白を取ることがポイント。触る高さ、扉の開き、配膳台までの距離——この3点をメジャーで測っておくだけで、使い心地がぐっと整いやすくなります。最後に、紙に「使いたい瞬間」を3つだけ書き出し、機種マップに当てはめてみてください。それがあなたにとっての最短ルートになるはずです。
選ぶというのは、迷い続けることではありません。“この一台に、どんな時間を託したいか”を決めるだけ。ヘルシーシェフのW1D/W1B、そしてMRT-F100。それぞれの特徴が、あなたの一週間の流れに寄り添い、キッチンのリズムを整えやすくしてくれます。今日の暮らしにいちばん自然に馴染む一台を、心地よく迎え入れていきましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q. MRO-W1DとMRO-W1Bの庫内容量は同じですか?
- A. はい。どちらも30L(2段調理対応)で、日立公式仕様によると庫内サイズと構造は共通設計です。容量の違いによる使い勝手の差はほとんどありません。
- Q. MRT-F100はグラタンやピザも焼けますか?
- A. 日立公式仕様では、MRT-F100にトーストモード・ピザモード・パンリベイクモードが搭載されています。パンやピザのほか、グラタンなどの軽いオーブン調理にも対応できます。
- Q. 設置時の注意点はありますか?
- A. 3機種とも背面・左右ピッタリ設置に対応しています。日立の公式仕様では、上部に10cm以上の余白を確保するよう推奨されています。設置時は、扉の開閉スペースやコンセント位置も合わせて確認しておくと使いやすいです。
※本ページの内容は日立公式サイト(日立ヘルシーシェフ公式ページ)の情報をもとに作成しています。実際の設置条件や仕様の詳細は、メーカー公式サイトで最新情報をご確認ください。
この記事で、薬機法や景品表示法等に引っかかる内容があったら教えてください。
情報ソース
本記事は、以下の一次情報(メーカー公式サイト)をもとに作成しています。
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